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軌跡を全員で辿り、一体感の強化に生かす周年史制作【ギガフォトン】

2021.9.22

コマツグループのギガフォトン株式会社様は、微細化が進む半導体の製造に欠かせない露光用エキシマレーザ光源装置のリーディングカンパニーとして、世界のデジタライゼーションやイノベーションを支えています。2020年に創業20周年を迎えるのに際して、社内横断組織の「20周年プロジェクト」を立ち上げ、その一環として2021年春に周年史を発行なさいました。プロジェクトの主管部署である経営企画部の部長(制作当時)で、取締役専務執行役員COOの榎波龍雄様、事務局をお務めになった経営企画部副部長(制作当時)の高久賢次様、経営企画部担当課長の村松千恵子様に、周年史発行の意義と周年史制作を通じて得た成果についてお伺いしました。

「自分たちがワクワクする周年史を作りたい」

高久 賢次 様

周年史を発行する企業の担当者にとって、周年史の編纂は未知の事柄が多いものです。周年史の発行経験がある企業でも、前回の発行から年月が経過して前任者が退職していたり、申し送り事項や業務遂行のマニュアルが存在しなかったりするケースがほとんどです。周年史発行の事務局が、その状況を「手間の多い、厄介な仕事が降ってきた」と捉えるか、「取り組みがいのあるプロジェクトを任された」と受け止めるかで、周年史の充実度は大きく変わってきます。ギガフォトン様の20周年プロジェクト事務局の方々は、後者でした。

「わが社には非常にユニークな歴史があるので、やりがいのあるプロジェクトだと感じていました。私自身、創業時から当社に在籍していますので、将来のために、これまでの会社の軌跡を形にして残したいという思いも強かったです。非常にワクワクしたことを覚えています」(高久様)

村松 千恵子 様

高久様と共に経営企画部で事務局を務めた村松様は、周年史についての情報収集を進めるうちに、周年史は、社業の記録を残すこととは別に、社業にとって重要な意義があると気づいたそうです。「会社の今と将来に対して“できること”が多い媒体だと感じました。周年史を読むことで会社の成り立ちを知り、今、自分が携わっている業務がどのような意味を持つのかを理解できます。そこには、記録という意味だけではなくて、教育や継承の役割が見いだせます。そして、組織が大きくなると社内のつながりが希薄になりがちです。例えば、国内であれば、海外拠点でどんな人が働いているのかを知らない社員が大半です。周年史でそうした情報を伝えることもできます。周年史は現在の課題解決に切り込む上での手がかりにもなるのだと感じました」(村松様)。

導入したソリューション 社史・周年史制作

社員参加型のコミュニケーションを重視

榎波 龍雄 様

事務局と各部門代表の方々から構成される30人を超すプロジェクトチームに対して、ギガフォトンのマネジメント層は、周年史制作の目的を3つ、提示したそうです。まず、高久様や村松様がお話しになったように、創業当時の苦労を社内に残し、社歴の浅い社員の皆様にも伝承していくこと。次に、自社のビジネスのどこが優れていて、何を改善すべきかについて経営学的なアプローチを試みること。そして、周年史の編纂を機に、社内のデータを収集して整理すること、です。ただ、実際にどのような周年史に仕立てるかについては、プロジェクトチームの議論に任せる姿勢を貫いたといいます。

「周年史の企画で、どこに焦点を当てた内容にするのかは、プロジェクトの各部会でメンバーたちが話しながら決めていきました。私たちマネジメント層は議論の報告を受け、メンバーたちが話し合って決めた内容にOKを出す形でかかわっていきました。要所でアドバイスはしましたが、『絶対にこうすべき』といった口出しは控えました。口出しをすると議論が歪んでしまいますので」(榎波様)。

プロジェクトチームは、周年史制作のプロセスを、社内コミュニケーション活性化や教育の機会として活用なさいました。例えば、自社の良い点や悪い点について国内の全社員アンケートを実施したり、企画の人気投票を実施したり、創業時を知る元役員へのヒヤリングに若手社員を同席させたりというように、社員参加を促す仕組みを制作プロセスの至るところに取り入れています。手間はかかりますが、それ以上に得るものは多かったと高久様は振り返ります。

「創業時の苦労を知る企画のヒヤリングでは、創業時から在籍していた私ですら知らなかった発見が多くありました。それぞれの立場で、プロジェクトメンバーや社員に多くの発見があったと思います。普段あまり話すことがない社員同士がディスカッションをする機会が増え、社内のさまざまなところで新たなつながりができましたので、周年史を作るプロセスの中で、次世代への芽が生まれていったと思います」(高久様)

こうして丁寧に作り上げたギガフォトン様の周年史は、年表や国内外の事業場紹介などのほか、ユニークな企画が多く盛り込まれています。「技術に詳しくない社員のご家族やお子さんが当社の技術を理解できるように」と、執行役員と社員がシナリオ作りと技術解説を手掛けたイラスト主体の誌上講座、社内のエンジニアの方々が後世に語り継ぐ「名機」を解説するグラビア、日経BPグループの編集者による、創業時からの苦労を第三者視点で語った“プロジェクトX”風ドキュメントなどです。「全員の笑顔の写真を載せたい」と、海外を含め約1000人に及ぶ全社員から、ご自身が気に入っている笑顔の写真を取り寄せてアルバムとして掲載もしています。

結果的に、経営陣が当初提示なさった3つの目的はすべて達成されたのでしょうか。「創業期の話は想像以上にうまく盛り込まれて、伝えることができたという気がします。データ面では、製品開発時の資料や社内で公募した写真など、期待したもの以外にも色々なデータが社内から集まって、面白いものになりました。ビジネスモデルが経営学的に見てどうだったかという点は、その内容を正面から扱った企画にはなりませんでしたが、考察に必要なデータは周年史に盛り込めているため、これを読んだ社員がどう受け取るかだと思っています」(榎波様)。

導入したソリューション 社史・周年史制作

「後工程にプロがいるから企画を実現できた」

ギガフォトン様の周年史制作では、私ども日経BPマーケティングが、日経BPコンサルティングと共に、編集のお手伝いをさせていただきました。榎波様は、周年史編集のプロが制作に携わる意義について、以下のようにお感じになったそうです。

「10人を超す規模で会議をすると、その会議の最後にまとめをする必要があります。周年史の場合はさらに、誌面化の具体案を作らなければなりません。そのプロセスを全て自分たちでやろうとすると、メンバーたちは通常業務もあるのでとても大変です。できそうなことだけを選択して、企画が小さくまとまってしまっていたかもしれません。でも、後工程に議論の内容をまとめて誌面化してくれるプロがいると思えば、やりたいことや、その時に浮かんだアイデアを自由な発想で全て出すことができます。当社の場合、プロの力も借りて、自分たちの本来やりたかったことを周年史に反映できたと思います」(榎波様)

また、周年史制作で多くの専門企業がある中で、日経BPマーケティングにご用命をいただいたのは、担当者の一言だったといいます。「数社の候補から選定する際に、日経BPマーケティングの担当の方が、『絶対、最後までサポートしますよ』と。周年史制作は初めてでしたし、サポートがあるかないかは大きかったです。やはり重要なのは、周年史の仕上がりと、人だと思います」(村松様)。

ギガフォトン様では、周年史の制作と並行して、職場改善のプロジェクトを走らせていました。緊急対応的なものではなく、中長期での体質改善を視野に入れたプロジェクトだそうです。「例えば、周年史のデータを収集する過程で、当社は記録を文書として残すことが苦手だということが見えてきました。そこで、文書管理の方法についてのプロジェクトを立ち上げています。周年史制作の経験を社業にフィードバックできたことも、大きな糧となっていると思います」(榎波様)。周年史制作を通じてギガフォトン様の社内で発見された数々の改善の種は、30周年史の制作では「語り継ぐべき財産」へと発展しているのかもしれません。

導入したソリューション 社史・周年史制作

企業・団体の節目を迎える周年のタイミングにおいて、近年では「従業員のモチベーション/ロイヤリティ広報」「企業理念の再浸透・再策定」「企業ブランディング」など、幅広いステークホルダーとのコミュニケーションを見直したり、促進する機会となっています。
日経グループは、40年以上の実績を持つ社史制作をはじめ、周年記念広告や周年事業のコンサルティングまで幅広いご要望にお応えできます。

取締役専務執行役員COO 経営企画部長(制作当時)
榎波 龍雄 様
経営企画部副部長(制作当時)
高久 賢次 様
経営企画部経営管理課担当課長
村松 千恵子 様
企業名
ギガフォトン株式会社
本社所在地
栃木県小山市
設立
2000年8月
従業員数
721人(国内単体。2021年 4月1日現在)
URL
https://www.gigaphoton.com/ja/
事業内容
半導体リソグラフィ用、その他用エキシマレーザ及び極端紫外線光源(EUV)の、開発・製造・販売