教育・研修Education / Training

日経BP発行のビジネス誌・情報誌を活用した『社会人向け通信研修』

学校法人 産業能率大学 総合研究所

教育・研修
教育・研修

企業向けの通信研修で国内トップクラスの経験と実績を誇る学校法人産業能率大学様は、通信研修のテキストに日経BPのビジネス誌・情報誌を活用し、経済やビジネスに関する体系的な知識とトレンド情報を多角的な視野で学ぶ『日経BPビジネス誌コラボコース』を2009年に誕生させてから12年が経ちます。新型コロナウイルス感染症で一変した環境の中、通信研修に新たな可能性が広がってきたと言う、学校法人 産業能率大学 総合研究所にお話をうかがいました。

コロナ禍の中、通信研修+オンライン会議で
会えない状況を超えて「共に学ぶ」効果を醸成

「テレワークでも連帯感を維持」

片山 和典 様

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって、2020年は、日常生活や仕事の仕方がガラッと変わった節目の年となりました。企業においては、働き方とともに研修の姿も大きく変わり、その中で、通信研修を巡る状況にも大きな変化があったようです。

「これまでも、インターネット上のシステムを活用した、いわゆるオンラインの学習や研修の活用は、少しずつ広がってきていました。それが新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために外出を控える、人が集まることを避けるという対策が世界的に採られる中で、オンラインによる学習や研修の活用は加速的に広まり、当たり前の手法としてあっという間に定着しました。

その中で、例えば、これまで集合型・対面型で実施されていた新入社員や昇格者向けの階層別の研修は、知識を習得するインプット部分は通信研修で代替し、それを実践するアウトプット部分のみをオンラインも含めた集合型で実施するというように、積極的にオンラインを活用し、目的に適した手法を組み合わせて研修を構成する傾向が強まっています」。

マーケティング部 マーケティングセンター長の片山 和典様は、オンラインならではの気を配るべき点があると言います。従来の集合型・対面型の研修と同じような、複数人によるグループ学習の感覚を生み出すことです。複数人で見守りあう効果や、共に学んでいるという連帯する効果によって、1人で学ぶ場合に維持することが難しいこともある学習意欲の持続効果が、教育では大事なことだからです。

「通勤せずに自宅などそれぞれ個別の場所で働くテレワークでは、周囲の目が届きにくいことから、働き手一人ひとりの自律的で能動的な取り組みが、これまで以上に重要になってきています。学習や研修でも同じです。リアルに集まることへの制約が大きい状況の中で、学ぶ意欲をいかに維持し続けられる環境をつくることができるのか。各自に任せるだけでは、意欲の持続に差が出やすくなってしまい、学習成果にこれまでにはない大きな差が生じてしまう恐れがあります。

オンラインでの学習でありながら、こうした意欲の維持などが個人任せになってしまいかねない課題を解決するための手法を模索し始めています。これまでの集合型・対面型の利点だった、衆目の中での見守り効果や共に学ぶことの心理的効果も維持する方法を確立して顧客企業にノウハウを提供したいと考えているからです。例えば、通信研修に、オンラインによるグループ学習を加えた試みの例を本学のWebサイトで公開しています」。

ニューノーマルで変わる、大人の学び~リモートでグループ学習をやってみた~
【導入編】
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/feature/202007/29-01.html
【実践編】
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/feature/202007/29-02.html

この試みでは、通信研修という従来の手法でも、オンラインの会議などで使われている新たなツールを活用したグループ学習を加えることによって、集合型の「共に学ぶ」文化や風土の利点も醸成できる感触をつかめたと言います。

経済やビジネスの本質と最新事例を包括して学び
現在のビジネスパーソンに必須な能力を磨く

「学ぶことで新たな気づきを得る」

片山 和典 様

産業能率大学の通信研修において、日経BPの雑誌コラボ通信研修シリーズには、どのような意義があるのでしょうか。

「通信研修の強みは、知見が確立された内容をまとめた教材を使って、体系的に学べることです。一方で、日々の状況変化への適応力も重要です。この二面の両方とも重要ですが、通信研修の教材に、日々刻々と変わる事例を同居させるのは難しい面があります。こうした最新の状況、具体的な事例を補うのに雑誌が適しています。その中でも、国内トップの地位にある日経BPのビジネス誌を活用できる利点の大きさを、コラボがはじまった2009年以降の12年間で実感をより強めています。

通信研修の教材では、経済の入門や解説を交え、わかりやすく整理された、いわゆるストック型の情報を学びます。そして、毎週や毎月、定期的に送付されてくる雑誌の掲載内容を読み込んで、いわゆるフロー型の情報として活用することを繰り返すプロセスによって、より望ましい学びを実現できるようになりました。

また、物事を見る眼を養う手法として、「汎用的な理論と具体的な事例」の両方をとらえることも重要です。具体的な事例から汲み取れる理論があるのではと考えたり、確立された理論が直近の経済活動でどのような事例として生じているのかを知ったりすることで、抽象的な理論と具体的な事例を通じた思考の往還が、現在のビジネスパーソンに必須の能力となっています。この点でも雑誌とのコラボの利点を感じています。

日々の状況や具体的な現象に強いメディアには、新聞もあります。どちらも利点がありますが、雑誌の方が系統立てたまとめや有識者による見解、企業の具体的な事例がより多く深く紹介される傾向にあり、われわれの目的に合っています」。

実際に導入いただいた企業の受講者からの反響も小さくないようです。

受講後のアンケート回答
コース名 受講後の感想
『日経ビジネス』で経済を読む
  • ・テキストの日本経済入門がとても分かりやすく、読みやすくて、受講後も何度も読み返したいと思いました。
  • ・普段触れることの少ない分野の最新情報を入手でき、今後も継続して受講したい。
『日経ビジネス』リーダー塾
  • ・定期的に読み返したい内容であったし、Web添削ができて、便利でありがたかったです。
  • ・非常によい内容でした。
『日経WOMAN』で仕事レッスン
  • ・ビジネス以外にも役立つ情報がたくさんあって、今後も教科書として参考にさせて頂きます。
  • ・毎月届く雑誌には、テキストで勉強したことを実践している人の活躍を知ることができ、私にとってプラスがとても多い受講ができました。
『日経WOMAN』で輝きアップ
  • ・もっと早くいろいろ知りたかったと思うような面白い情報が満載でした。
  • ・目標達成に向けた取り組み方や気持ちの持ち方、一般常識まで幅広く学ぶことができ、仕事や私生活で活かしています。

「通信研修の他のコースにはない感想として、日経BPとのコラボによる送付誌が、まとまりがよい内容で、わかりやすいということが多いという特徴があります。また、日常の生活や業務では興味や関心が薄い分野の最新事例を学べる機会になったという感想も、重要だと感じています。現在のインターネットの環境では、検索した言葉や購入した商品の履歴によって、その人に表示する内容を絞り込んでいく機能があり、この偏向を避けられる機会になっていることがわかるためです。

もう一つ重要だと感じたのが、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じた情報収集が増えていて、その瞬発的な利点ができたからこそ、その反対にあって情報を収集し整理した雑誌の掲載内容を読むことの利点も感じられます。SNSや新聞に強みがある一過性や一時的な情報だけではなく、過去から蓄積してきた雑誌を通じた情報を踏まえた考察を重ねることで、厚みや深みがある重層的な情報をえることができることを改めて感じる声があります」。

※産業能率大学のサイトに遷移します

社会人の学びは「先生→生徒型」から「教え合い型」に変わる
ZoomやSNSの活用が端緒に

「コロナ禍で存在感が増す電子版」

森島 茂人 様

2020年度から『日経ビジネス』を活用するコースは、これまでの紙の雑誌だけではなく、電子版を選択できるようになりました。この効果はあるのでしょうか。

「コロナ禍で他人との接触を控えざるを得ない中、電子版の利点が大きく効いています。電子版なら出勤や配送担当者とのやりとりなしで入手できます。さらに、新しい情報が毎日のように増え、動画による情報もあります。これによって、より幅広い層の受講者が利用しています」。
と、セルフラーニングシステム開発部長 森島 茂人様は感触を語ります。

「これまでの通信研修コースでも、紙の教材に付随して提供してきた電子版のテキスト(eText)への要望が増えてきました。これもコロナ禍で紙の資料のやり取りが現実的ではなくなってきたこと、さらに、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の観点から紙の資料を避ける動きが出てきている面もあります」。

「女性の受講者増の陰に『日経WOMAN』」

新卒・中途入社を問わず、これからはSNSの活用や、オンラインでの学習や会議が当たり前の人材が入社してくる時代になります。

「学びの場の主役が変わってくるでしょう。その兆候は、若い世代のSNSの活用にあります。SNSを使うのは、情報収集のためだけでなく、知った情報から何かを考えて、発信したり共有したりするためでもあります。彼らは無意識にやっていると思いますが、集団型の学習の利点である、みんなで連帯して共に学ぶ活動の一つと言えます。

このようなSNSの使い方ひとつを見ていても、これからの社会人の学びでは、従来の「先生が教え、生徒が学ぶ」という主従関係のような形式を破っていくのではないかという予感がします。対等な立場で教え合うのです。

これによって、集団型のグループ学習の利点として、従来の「脱落を防ぐ」効果だけでなく、新たに「教え合うことで、より効果が高まる」ことが加わってくるのではないかとみています。

こうした新しい学びの姿に、Zoomの仕様が適しているように感じます。参加者は会議への入室順に、同じ面積で平等に表示されます。主従関係や上下関係に左右されない、平等に教え合う学びを促進すると期待しています」。

女性がより活躍できる働き方の促進にも、日経BPとの取り組みが寄与するのではないかとみているようです。ジェンダーフリー、ダイバーシティといった多様性を受け入れていく環境の中で、例えば、『日経WOMAN』と提携した通信研修のコースを開講している効果で、30代を中心とした女性の受講が増えてきているとのことです。

導入したソリューション 『日経WOMAN』で仕事レッスン
導入したソリューション 『日経WOMAN』で輝きアップ

※産業能率大学のサイトに遷移します

マーケティング部 マーケティングセンター長 片山 和典 様
セルフラーニングシステム開発部長 森島 茂人 様
法人名
学校法人 産業能率大学 総合研究所
所在地
東京都世田谷区
創立
1925年4月
教職員数
588名(2021年4月現在/学校法人全体)
URL
https://www.hj.sanno.ac.jp/
事業内容
1925年設立の日本産業能率研究所を起源に、日本初の経営コンサルタントである上野陽一氏によって創立。創立者の上野陽一氏は、アメリカの近代的経営を研究し、日本に導入・普及した。その精神と活動を受け継ぎ、大学、大学院、総合研究所を設置して、学生・社会人教育事業を推進。総合研究所では、さまざまな人材開発プログラムの開発、経営革新のためのコンサルティング、組織改革のための制度構築と定着化など、経営課題解決のための豊富なソリューションを提供している。

2021.7.15