教育・研修Education / Training

設計技術者に自学自習の意識を根付かせるきっかけに

株式会社 島津製作所

教育・研修
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株式会社島津製作所様では、入社2年目以降の電気系技術者のスキル評価に、「E検定」が活用されています。新人研修などに続くプログラムとして受験が奨励されており、自学自習の意識が技術者に定着したとのことです。また、技術者の弱点の分析により、効果的な教育プログラムの企画に活かすことも可能となり、他社との差別化を図り、競争力のある製品を生み出すために不可欠な同社の技術力の底上げを支援する存在になっています。

電気電子分野での適切なスキル評価方法が無い

小西 善之 様

分析計測機器や医用機器などを手掛ける島津製作所様にとって、高い設計技術力は利益を生み出す源泉です。技術力を継続的に高めるために、全社部門の総合デザインセンターが技術者向け研修を運営しています。さらに、電子電気分野では「電気・電子設計技術力強化施策研究会」(エレ研)、機械分野では「機械設計技術力強化施策研究会」(メカ研)という部門横断型の組織が、全社的課題の抽出・対策検討・情報交換を行うと共に、技術研修の監修を行っています。

同社の技術研修は大きく分けて、入社から配属までの間に行う新人研修と、それに続く個別のスキル研修、資格試験や検定の受験の3つから成ります。このうち資格試験や検定は入社2年目以降の技術者を対象としたもので、その合否によりスキル評価を行いますが、電気電子分野には適切な評価方法が無いのが問題でした。「資格試験が充実している機械分野や情報分野と違って、電気電子分野は内容的に限定的な試験が多く、アナログ技術を含めたスキルを適切に評価できる方法を探していました」(小西様)。

「当社製品は非常に多岐に渡っており、多くの製品を数少ない技術者で設計しなくてはなりません。それでも競合製品との差別化を図るためには、電気電子設計の技術力向上が欠かせません。近年、大学で電気設計に真剣に取り組んでいるところは少なくなっているように思います。その分、入社後の技術研修が重要になるのですが、入社1年目はともかく2年目以降の自学自習のモチベーションをどうすれば維持できるのか、思案していました」(高見様)。

導入したソリューション E検定~電気・電子系技術検定試験

まずは3つの基本分野に絞って導入

そこで同社が活用を決めたのが「E検定」です。当初、同社ではE検定が対象とする9つの分野すべてを活用することも検討されました。しかし、「若手に全分野取り組ませるのは時間的に少々厳しいかなと感じました。そこで電子回路・デジタル・電気回路の3つの基本分野に絞り、2018年から導入することにしました」(小西様)。

2018年以降、同社では毎年秋の試験を団体で受けています。エレ研の推奨試験と位置付け、「電気設計業務の従事者で自分の技術レベルを知りたい人や、新たな技術分野に挑戦して視野を広げてスキルを磨きたい人に、受験を呼びかけています」(小西様)。

島津の技術者教育の仕組み
導入したソリューション E検定~電気・電子系技術検定試験

試験問題から技術力評価の切り口に気づかされることも

高見 芳夫 様

E検定の導入による一番の効果は、自学自習の意識を一人ひとりの技術者に持続させることができた点です。「新入研修でモノづくりをひと通り体験させることで、入社1年目は自学自習の意識を持たせることはできていました。その後のプログラムにE検定の受験を組み込むことで、その意識を2年目以降も持続させることが可能になりました」(高見様)。実際、受験者のアンケート結果でも、技術力向上に対する前向きな意識が表れているとのことです。

また、教育プログラムを監修するエレ研にも、E検定は大きなメリットをもたらしています。検定試験により客観的な指標で技術力を評価できるため、「技術力向上に対する議論が活発になり、試験結果から当社の技術者が苦手とする分野も分かるようになりました」(高見様)。明らかになった苦手分野などの情報はエレ研で共有され、効果的な教育プログラムの企画立案に活かすなど、E検定は技術力の底上げを担うエレ研の活動を支援する存在にもなっています。また「試験問題から『なるほど、この技術力を評価するのにこういう切り口もあるのか』と気づかされることもあります」(高見様)。

「当社の生命線は設計技術です。設計部門以外にも、元は設計を担当していた技術者が多く、設計部門は全社に人材を輩出する源泉となっています。今後は、E検定で明らかになったスキルレベルを、技術者の育成計画や人材の適性配置などへも有効利用すること、またE検定の活用分野を電磁気や実装などにも拡大することを考えています」(小西様)。

導入したソリューション E検定~電気・電子系技術検定試験

「E検定~電気・電子系技術検定試験」は、若手から中堅までの技術者を対象に、電気・電子系技術者に求められる知識やスキルを測定する検定試験です。
自身のスキルレベルを把握し、強みや弱みを認識することで、自身の技術力向上への意識が高まります。

総合デザインセンター
設計推進ユニット 
技術研修グループ 
マネージャー/国家資格キャリアコンサルタント
小西 善之 様
総合デザインセンター
設計技術ユニット 
電気設計グループ 
マネージャー/エレ研主査
高見 芳夫 様
企業名
株式会社 島津製作所
本社所在地
京都府京都市
設立
1917年9月
グループ従業員数
13,182名(2020年3月31日現在)
URL
https://www.shimadzu.co.jp
事業内容
分析・計測機器、医用機器および航空・産業機器など幅広い分野での製品開発、製造、販売、保守を行う総合精密機器メーカー。
これまでに培ってきた多様な技術とノウハウを融合し、次の時代に向けた新たなソリューションを提供する。

2021.4.9