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昇進の必要条件として位置付ける
【京都電機器】

2021.10.22

産業用電源装置などの設計・開発・販売を手掛ける京都電機器株式会社様では、2018年から技術者の教育プログラムに「E検定」を取り入れています。新人として入社した技術者が昇進する際の条件としてE検定の結果を位置付けており、明確な基準のもとでそれぞれの技術者が自ら努力するようになりました。技術を継続的に学ぶモチベーションが高まり、ものづくり企業としての競争力向上にも寄与しています。

「研修がその場限りになっていた」

波来谷 徹 様

京都電機器様は長年培った高周波のスイッチング技術などをもとに、高信頼の電源装置をカスタムメイドで設計・開発・販売しています。必要なパワーデバイスは自社生産するなど、競争力向上のために積極的な投資を続けているものづくり企業です。

同社の人事制度では大卒新入社員は「2級」と位置付けられ、技術者採用の社員は数年の職務経験を経て「3級」に昇進します。3級は同社の「設計資格」を取得したことを意味し、設計を任せられる立場になったことが認められます。さらに数年をかけて、幅広い知識をもとにプロジェクト全体をまとめる「4級」へとキャリアアップする制度が設けられており、3級は「主務」、4級は「主任」の役職にそれぞれひも付けられています。

同社はキャリアアップを支援するために、OJTや集合研修などのプログラムを用意しています。しかし「研修はどうしても単発的なものになってしまいます。内容も体系的なものではなく、研修がその場限りになっていたことは否めませんでした」(波来谷様)。

また実際の昇進も明確な要件がなく、昇進を目指す若手技術者だけでなく、昇進を判断する上司にとっても悩みの種となっていました。「経験年数ぐらいしか判断材料がなく、何か具体的に目指すものを昇進の必要条件として位置付ける必要があるのではないかと考えていたのです」(波来谷様)。

導入したソリューション E検定~電気・電子系技術検定試験~

eラーニングも併せて導入

その昇進の必要条件の一つとして、同社が2018年から採用しているのが「E検定」です。電気技術者については、2級から3級への昇進条件としてE検定の基本分野試験(電子回路・デジタル・電気回路の3分野から成る試験)で中級以上を取得することを義務づけています。さらに3級から4級への昇進には、全分野試験(全9分野を対象とした試験)でエキスパートを取得することを条件に加えました。昇進のための具体的な目標が明確になり、技術者が日常から技術習得に積極的に取り組むようになったことが、E検定導入の大きな効果の一つです。

ただし制度に正式に取り入れて最初の受験では、受験者の成績はあまり芳しくなかったとのことです。「受験した技術者は『結構難しい』と感じていたようでした。体系的な教育プログラムも同時に必要と考え、2回目の受験に備えてeラーニングも併せて導入することにしました」(波来谷様)。

eラーニングではE検定の受験を控えた技術者が、必要な知識を体系立ててオンラインで自習できます。それに加えて管理者機能を使い、上司が部下の受講状況をチェックしたりすることも可能です。「特に4級への昇進にはE検定の全分野でエキスパート取得が必要なため、受講が不十分なままで合格と昇進は望めません。上司は4級を目指す技術者の受講状況を見ながら、適切な受験のタイミングをアドバイスするようなこともできるようになりました」(波来谷様)。

導入したソリューション E検定~電気・電子系技術検定試験~

「モチベーション維持につながっている」

村川 義宜 様

昇進につながる試験の合格という明確な目標ができたことで、技術者の学習意欲も高まっています。「E検定のレベルは高く、1回で全員合格できるようなものではありません。しかし合格した技術者は『やりきった』という満足感を得て、合格できなかった技術者は『次こそ』と再挑戦への意欲を燃やしています。モチベーションを維持できるようになったことは、大きな効果だと思っています」(村川様)

「E検定を受けている企業の多くは、当社と同じような製造業か技術者派遣の会社と聞いています。同業他社との競争に勝っていくためには、当社の技術者のレベルが高いところにあるか、何が強くて何が弱いのかを随時チェックしなくはなりません。当社のE検定受験者の結果を全体の平均点や点数分布と比較し、当社の技術力を客観的に分析することにも活用していきたいですね」(波来谷様)。

導入したソリューション E検定~電気・電子系技術検定試験~

「E検定~電気・電子系技術検定試験」は、若手から中堅までの技術者を対象に、電気・電子系技術者に求められる知識やスキルを測定する検定試験です。
自身のスキルレベルを把握し、強みや弱みを認識することで、自身の技術力向上への意識が高まります。

執行役員 技術部長
波来谷 徹 様
技術部 技術管理課長
村川 義宜 様
企業名
京都電機器株式会社
本社所在地
京都府宇治市
設立
昭和37年
全従業員数
160名(2021年10月19日現在)
URL
https://www.kdn.co.jp/
事業内容
主にパワーエレクトロニクスとオプトエレクトロニクスの二つの事業分野を中心に営業から開発、設計、製造までを一貫して行うビジネスを展開しています。