パイロットの“セラミックス”事業を支える 日経クロステックの幅広い知見
株式会社パイロットコーポレーション
デジタルメディア
「え?パイロットって文房具だけじゃないんですか? セラミックス! へええええぇぇぇぇ」という感想とともにこの記事をクリックしてしまった人はきっと少なくないはず。
しかし、その歴史を紐解くと意外に長く、そして、日本のブロードバンドネットワークに大きく寄与していた歴史的な役割と貢献に驚くでしょう。
「パイロットの意外な一面」を担うIS部セラミックス営業課 課長の山尾 直寛様、専任課長の法本 昌之様、課長代理の野村 成規様に、パイロットのセラミックスだからこそ実現できた強みと、その強みの実現に日経クロステックはどのように貢献しているのかを伺いました。
パイロットがセラミックス? 知られざる歴史的貢献
パイロットのセラミックス事業は、1978年にシャープペンシルの芯成形技術を応用して始まりました。当初からアルミナを使用した極細円柱の中心に0.1mmの孔を開けたパイプ状のセラミックスを製造する技術が注目を集め、当時始まった光通信インフラ整備の一環として、光ファイバーコネクタのフェルール開発に携わります。日本を縦断する光回線の敷設事業に貢献したこの開発では「SCフェルール」と呼ばれる規格に協力し、この技術は後に世界標準規格となります。
2000年以降、同社は培ったセラミックス関連技術を活かし、半導体、自動車、各種センサー部品など、より幅広い分野へ展開していきます。セラミックス関連製品では他のメーカーにできない微細部品をメインに手掛けています。使用する素材は高純度のアルミナ(99.7%以上)をはじめとして、高い靭性を有してSCフェルールでも採用したジルコニア、熱伝導効率に優れて放熱素材に適した窒化アルミニウムなど、用途に応じたセラミックスを扱っています。
パイロットセラミックス事業は光通信用のフェルールから始まった
野村 成規 様
パイロットのセラミックス製品の強みは、同社が長年生産してきたシャープペンシルの芯で培ってきた「微細な成形技術」にあります。「外径3mmの成形が可能で、その中に直径20ミクロンの孔を数千個~数万個開けることができます。これは他社にはない、私たちだけの“オンリーワン”な技術でしょう」(野村様)
非常に小さな孔を長く、安定して開けることができる独自技術と、セラミックスの持つ耐熱性、絶縁性といった特性を組み合わせることで、高温環境下で使用される自動車、半導体、医療機器など多岐にわたる産業にセラミックス製品を提供し続けています。
パイロットのセラミックス製品の強みはシャープペンシルの芯製造で培った微細加工にあるという
微細な孔を長尺に渡って均一に成型した「多孔セラミックス」も製作可能
パイロットの中でもセラミックス事業は、ある意味“特殊”な立場にあります。社内に共通する事業がないため、情報はセラミックス関連の学会誌や技術専門誌、業界に特化した新聞や専門の技術雑誌などから自分たちで収集していかなければなりません。
セラミックス営業課があるパイロットの平塚工場は、セラミックス製造がある関係で研究開発部門と営業部門が“同居”しており、それが情報の共有において有利だと言います。「平塚工場にある製造部隊と開発部隊と営業で毎月会議もやっています。情報を持ち寄って話せる土壌が同じ敷地内にありますので、そういったところは十分活用しています」(山尾様)
独自開発の押出成形設備と焼成ノウハウにより緻密に成形し、均質に焼成された高密度・高強度・高純度のセラミックス
「日経クロステック」の導入はトップ“雑談”から始まった
法本 昌之 様
このように開発部門と営業部門はフラットに情報を交換できています。ただ、開発部隊の話す内容が専門に特化しすぎていて営業部隊には理解が難しい場面もあるとのこと。それでも、「セラミックス事業における共通の課題がありますので、次世代の材料などの新しいチャレンジに関するところでは情報共有しながら、次は何が流行るのか、今持っている手持ちの技術だけでいいのかと意見を共有しています」(法本様)
パイロットのセラミックス営業課が日経クロステックを導入したきっかけは、開発部門と営業部門のトップ同士の“雑談”でした。セラミックス技術だけでなく、インクの分散技術やゲル化技術など、パイロット固有の技術を他分野に応用する可能性を探る中で、日経クロステックの記事が話題となったといいます。
「日経クロステックってちょっと深掘りした面白い記事があるよ、という話から営業も一緒に見てみない? と誘ってもらったのが最初ですね」(山尾様)
併せて山尾様は、自動車業界やIT関連分野など、セラミックス事業が関わっている業界を超えた幅広いジャンルでの情報収集が可能であることも日経クロステックを選択した理由として挙げています。「半導体なら半導体、自動車なら自動車というだけではなく、幅広く、かつ、ある程度の深掘りがある。そういう記事の構成も選んだ理由ですね」(山尾様)
部内周知は“いきなり”ではなく配慮と工夫を
山尾 直寛 様
パイロットのセラミックス事業部門における日経クロステックの活用方法として、現在は、山尾様が記事を選んでURLをメールで送る形を取っています(*1)。「セラミックス以外でも、開発とともに進めている新しい分野で応用の可能性がありそうな内容の記事を選ぶようにしています」(山尾様)
山尾様は、記事URLのリストだけをメールするのではなく、普段の業務メールの中で記事を周知していくことで日経クロステックへのアクセスを習慣化していったといいます。「送る側も受ける側も日経クロステックの存在と役割をお互い認識していない状況で記事URLだけを送ると、“いきなり?”という反応になってしまいます。当たり前のように日経クロステックの記事に触れてもらえるように配慮していきました」(山尾様)
導入理由でも紹介したように、山尾様は日経クロステックの記事の特徴として「ほどよい深さ」を挙げています。普通のニュースだと、新製品の発売情報や市場規模の予測だけですが、日経クロステックではその背景や利用方法などもう少し深いところまで知ることができるというのが技術関連情報の収集手段として利用しやすいといいます。
「開発のメンバーだと深いところまで知っていますが、私たちのような営業セクションには理解が難しすぎる場合があります。ただ、活用方法などは知識を広げていく必要があります。そのような場合に、営業としては“ほどよい深さ”の情報が得られる日経クロステックはありがたいです」(法本様)
日経クロステックでカバーしている記事のジャンルは多岐にわたるため、日経クロステックで役に立った記事として、業務分野であるセラミックス分野の他にも幅広いテーマが挙がっています。
例えば、「個人的には自動車関連が好きなので、自動車にまつわること、自動運転や電池、EVなどは興味を持ってチェックしています」という山尾様は、これら“業務範囲外”の情報収集にも日経クロステックは効果があるといいます。それは、将来に向けた事業拡大の機会につながる効果も期待できるようです。「(セラミックスを活用できる用途として)次は何があるのか、何がやれるのかというのは、もう永遠の課題ですね」(山尾様)
(*1)記事の全文をお読みいただくには、有料会員への登録(申込)が必要です。
「セラミックス事業と半導体産業は密接な関係」だから読みたい記事
パイロットのセラミックス事業部門では、日経クロステックの記事内容として、特に半導体関連の情報提供を期待しています。「セラミックス事業は半導体のウエハー工程や製造工程の分野に関わることが多いです」と山尾様が述べるように、セラミックス事業と半導体産業は密接な関係にあります。それだけに、最近、AIやDXに関する記事が多い傾向にある日経クロステックでも、半導体産業に関する多角的な視点からの記事が必要だといいます。
「ChatGPTとかDXとか、そういう記事がこのところは多いですね。それはそれで最先端だからいいと思うのですが、セラミックスの分野は他の分野でこれからも用途が増えてくる可能性があるので、ちょっと別な角度からの半導体に関する切り口で書かれた記事がもう少し今後増えていってくれると我々としてはありがたいですね」(山尾様)
単に情報収集のためだけではなく、セラミックス技術を応用できる新たな可能性を探るため、日経クロステックが重要な役割を果たしていることを、パイロットのセラミックス事業部門の“声”は示しているといえるでしょう。
導入したソリューション
日経クロステック 法人向け特別プラン
「日経クロステック(xTECH)」はIT、自動車、電子・機械、建築・土木など、さまざまな産業分野の技術者とビジネスリーダーに向けた技術系デジタルメディアです。AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)、自動運転、デジタルものづくり、建築物やクルマを変える新素材といった技術の最新動向と、法改正や新規参入者、新たなビジネスモデルなどによって引き起こされるビジネス変革の最前線をお伝えしています。
IS部 セラミックス営業課 専任課長
法本 昌之 様
IS部 セラミックス営業課 課長代理
野村 成規 様
法人名
株式会社パイロットコーポレーション
本社所在地
東京都中央区
創立
1918年1月27日
従業員数
1,056名(2024年現在)
Webサイト
https://www.pilot.co.jp/
事業内容
筆記具等のステイショナリー用品、玩具、リング等の貴金属アクセサリー、セラミックス部品等の製造、仕入及び販売