野村総合研究所(以下、NRI)は、日本で最も早い段階に登場した数多くの実績を誇るシンクタンクです。その提言は日本企業の経営方針を導いてきただけでなく、国家方針の決定にも大きく影響を与えているといえるでしょう。
その提言やレポートの“品質”を支えているのが、NRIに所属する多くの専門家の豊富な知見です。この知見を蓄えていくこともNRIにとって重要なミッションの1つといえます。そのためにNRIはどのような仕組みを整備しているのでしょうか。システムコンサルティング事業本部の関係者に伺いました。
野村総合研究所(以下、NRI)は、日本で最も早い段階に登場した数多くの実績を誇るシンクタンクです。その提言は日本企業の経営方針を導いてきただけでなく、国家方針の決定にも大きく影響を与えているといえるでしょう。
その提言やレポートの“品質”を支えているのが、NRIに所属する多くの専門家の豊富な知見です。この知見を蓄えていくこともNRIにとって重要なミッションの1つといえます。そのためにNRIはどのような仕組みを整備しているのでしょうか。システムコンサルティング事業本部の関係者に伺いました。
シンクタンクにとって、知見の蓄積と共有、そして人材育成は重要な課題となります。クライアントに向けて質の高い提言やソリューションを提供できるかどうかは、NRI社員1人1人がいかに豊富な知見を有しているかにかかっているといっても過言ではないでしょう。
野村総合研究所執行役員システムコンサルティング事業副本部長の小田島 潤様は、NRIにおける知見構築の重要性について次のように説明しています。「コンサルタントは、専門家としての知識やスキルに対して対価をいただいています。専門性がないのにお金をいただくわけにはいかないのです。そういうことを新人の頃から叩き込まれているので、NRI社員は自己研鑽に対する必要性を強く認識していますし、組織としてもそういう制度を充実させています。」
クライアントはNRIに専門領域の知見と経験を期待します。小田島様も「eCash」(イーキャッシュ)という電子マネー創成期のプロジェクトに1997年から参加したのをきっかけにセキュリティ技術に強い関心を持つようになりました。その後、社内ベンチャーとしてプロジェクト進行中であったNRIセキュアテクノロジーズの活動に参加し、セキュリティの専門家として2014年には同社社長として300人以上の社員を率いるまでにセキュリティ分野の知見を極めました。
しかし、小田島様はITのセキュリティの知見を深めていくためには、その前にIT全般の知見を広く習得することが必須だったと語ります。「セキュリティはネットワークとかアプリケーションとかの上に成り立つわけですから、セキュリティに詳しくなろうと思うと、IT全般に詳しくならなければいけません。その時点でカバー範囲が広くなってしまいますね。」(小田島様)
NRIでは社員個々人の高い自己研鑽意欲を支える充実した社内支援体制を用意しています。入社してから6年間までのいわゆる“若年層”社員は、様々な経験を通じて基礎スキルと行動を習得することで、参加しているプロジェクトに貢献しつつ自分の将来の方向性を考えていきます。
この若年層における経験と蓄積を通して、次は“中堅層”として成長し、リーダーとなってプロジェクトを運営していくだけでなく、クライアントにサービスを提供する=新しいプロジェクトを見出していく段階に入っていきます。さらに、中堅層における経験を通して蓄積していった専門知識を生かして特定の領域のスペシャリストやクライアントサポート、そして、組織マネジメントといった分野で活躍するスキルの習得を目指します。
ここで紹介した若年層、中堅層を経てエキスパート人材へと成長する全ての段階において、NRI社員は常にマーケットの動きをとらえ、自ら情報を収集しそれをブラッシュアップしていく必要があります。それらを個人及び組織の知見として熟成させた上でマーケットに自らの考えを投じて新しい仕事をつくる、というサイクルを繰り返すことでスキルアップしていきます。
このようなNRIにおけるスキルアップの特徴について、野村総合研究所システムコンサルティング人材開発室長の植田 一成様は、「もともと社風がそういう感じですね。社員が互いに切磋琢磨しているような関係があります。顧客や上司、同僚から質問をされた時、知らないワードがあることは恥ずかしいという感覚を持っています。」
こういう社内風土のおかげで、NRI社員は未知の領域に対する学習意欲が非常に高いといいます。社内に豊富な知見を有した人材を豊富に抱えているNRIでは、まず「社内の有識者」に教えを乞うそうです。事前にオープンな情報(書籍やネット等)を自ら収集して予習をし、知識レベルを専門家の話が理解できる最低限のレベルまで上げておく必要があると植田様はいいます。「専門家の豊富な知見を提供してもらうわけですから、基本的なワードが理解できなくては会話が進みません。」(植田様)
NRIでは予習で用いるための“オープンな情報”を提供する一環として社内にライブラリーを設置しています。そこには、専門書や各種統計情報、外部調査会社による多種多様なレポート、政府機関の白書などを所蔵しています。これら情報の活用についてもNRI社内で研修講座を設けています。
この研修では、システムコンサルティングに必要な「情報インプット」「情報整理・仮設立案」「提言実行」という3つのポイントを対象にしています。活動のスタートとなる情報インプットでは、質の高い提言を可能にするためには「良質なインプットの収集・蓄積」が重要だと説いています。「良質なコンテンツについては人材開発室で厳選して参考になるものを提供しています。」(植田様)
良質なインプットを重視するNRIシステムコンサルティング事業本部において日経クロステックが採用されました。その理由について、野村総合研究所システムコンサルティング事業本部ITアーキテクチャーコンサルティング部で人材開発室の業務にも携わっている宮本 格様は次のように説明しています。
「信頼できるコンテンツを用意しておくことは、常に質の高いコンサルティングをするために非常に重要だと思っています。その1つとして日経クロステックは情報量が豊富で世の中の動向を踏まえた良いコンテンツだと考えています。NRI社員にとって基礎的な知識として、まずはインプットするべき情報がそろっています。どこが調べたものかもよく分からない情報をインプットにするわけにはいきません。」
最近、話題になることが多いDX(デジタルトランスフォーメーション)では、対象となる領域が広範となるため顧客からIT領域だけではなく、顧客の業務・ビジネス全般の知見も求められることが増えています。このような変化に応じるため現場では「顧客の業務・ビジネスに関する情報をもっと提供してもらえないかという声も増えています。私もこれまで以上に顧客の業務・ビジネスに関する情報が欲しいと思うときがあります。」(宮本様)
もともと宮本様はシステムコンサルティング業務に従事する前は流通系ITソリューションでSEとしてシステム開発に取り組んでいました。それらの経験を通じ、顧客の期待に応えようとしていく中で、より豊富な知見を提供できる方法について関心が向くようになり、システムコンサルティング事業本部内での取り組みを始めたそうです。
また宮本様は、システムコンサルタントに求められるものが、特定領域だけでなく、業務領域も含め、これまで以上に様々な分野に対応することが必要になると考えます。そのため、今後NRIとしても新しい知識を得る必要性がさらに高まっているといいます。
このような状況の変化に対応できるためにも自ら学ぶことは必要で、NRIとしてそれを支援する体制を強化しなければならないと宮本様は考えています。そして、そのために幅広い知見の習得に必要なコンテンツの1つとして、日経クロステックを活用しています。
「いろいろな場面で業務とITの境目がほとんどないような話は増えています。我々のビジネスの源泉でもある「良質な情報インプット」の信頼できるソースの1つとして、日経クロステックのコンテンツを今後より活用してきたいと考えています。」(宮本様)
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2022.11.22