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日経クロステックの情報を共有し、品質安全におけるリテラシーを向上デジタル人材育成で生産性を高め、建設業界の課題解決を目指す

東急建設株式会社

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1946年創業、東急グループの総合建設会社である東急建設。鉄道関連事業に独自の技術を持ち、土木、建築、不動産と幅広い事業を展開しています。人材不足や職人の高齢化、資材の高騰など、さまざまな課題を抱える建設業界において、デジタル化による生産性向上は喫緊の課題です。そうした最新のデジタル技術の情報を収集すべく、土木事業本部 技術統括部では、「日経BPデジタルサービス 法人向け特別プラン」より、「日経クロステック」を導入しました。法人での導入を決断した背景から、活用方法までを、同部 技術企画グループの鈴木様、小笠原様、冨所様、橘様にお話を伺いました。

パーパス、ビジョンを実現する最先端技術を活用した土木事業

「わたしたちは安心で快適な生活環境づくりを通じて一人ひとりの夢を実現します」

東急建設は自社の存在理念(パーパス)として、このような言葉を掲げています。この理念に基づき、これまで培ってきた土木・建築分野のノウハウを最大限に発揮してきました。特に土木は、道路や橋、トンネルなどの社会インフラを整備するという重要な使命があります。

「最近では、環境への配慮も我々の大きな責務となっています」と語るのは、技術推進部長の鈴木 一 様です。東急建設グループは2021年3月、新たな企業ビジョン 「VISION2030」を策定しました。この中で掲げたのが、「0(ゼロ)へ挑み、0(ゼロ)から挑み、環境と感動を未来へ立て続ける」というメッセージ。この意図を鈴木様は次のように語ります。「『ゼロへ挑み』は、カーボンゼロ、廃棄物ゼロを目指すということ。そして、『ゼロから挑み』は、新しい事業に挑戦し、さらにそれを広げていくことを表現しています」今回、お話を伺った技術企画グループは、主にR&D(研究開発)の推進支援を行う部署です。デジタル技術の研究開発を中心に進め、現場の省力化の実現を目指しています。

最近、注力しているのが、BIM/CIM(ビム/シム:建築土木事業の生産管理を効率化するワークフローシステム)による3次元モデルに時間軸を加えた4次元シミュレーション技術です。「2022年11月に行われた国道246号渋谷駅周辺地下道工事のPPCaボックスカルバートの施工検討にて導入しました。空間的・時間的制約があるなかで時間ごとの変化を3Dモデルに時間軸を追加した4Dシミュレーションで確認することで、多くの関係者と認識を合わせることができました。これにより、大幅な生産性向上につながりました」と技術企画グループ グループリーダーの小笠原 広志様は説明します。

4Dシミュレーション(3D+時間軸)による施工計画
PPCaボックスカルバートの部材搬入作業を、4Dシミュレーション(左)と実施工(右)で比較。クレーンと高架との干渉などを事前確認できたことで、生産性が向上した(写真提供:東急建設株式会社)
導入したソリューション 日経クロステック 法人向け特別プラン

部内の情報収集源として不可欠と判断。日経クロステックの購読を開始

今回、技術企画グループは、法人向け特別プランより、日経クロステックの購読を開始しました。これまでの情報収集における課題について、同グループの冨所 滉大朗様は次のように語ります。「これまでは、紙媒体の『日経コンストラクション』や、その他の業界誌を、技術統括部で閲覧していました。しかしこれでは、限定的な情報しか得られません。日経クロステックならば、オンラインで、建設業以外の記事も読めるので、より視野が広がる情報を得られると思い、導入を決めました。今では関連ニュースにおける議題なども増え、日経クロステックの利用者同士で、共通理解が進んでいることも感じています」

これまでは個人的に日経クロステックを契約していた社員の方もいらっしゃったとのこと。しかし、技術統括部のベースとなる情報収集源として必要不可欠だと判断し、まずは課長クラスを対象に導入したといいます。「社会に対してアンテナを張って、情報を取りに行く習慣をしっかりと身につけることが大事です。顧客と話をする上でも、みんなが知っている情報は知っておかないといけませんよね。また、上司と若手が情報を共有する際のコミュニケーションツールとしても役立っています」と鈴木様は語ります。

ここで、最近の日経クロステックの中で注目した記事を、みなさんに挙げてもらいました。 同グループの橘 才造様が選んだ記事は「竹中工務店の構造 設計AIシステム、20年超の設計データを学習し業務効率化を支援(2023.10.19)」です。竹中工務店が、これまで蓄積してきた設計データや構造部材の情報をAIに学習させ、システムに実装したところ、設計業務にかかる時間を大幅に短縮したという事例です。

竹中工務店の構造設計AIシステム、20年超の設計データを学習し業務効率化を支援 2023.10.19

橘 才造 様

「現場ではBIM/CIMによるデジタル化が進みつつあるのですが、設計側にもデータドリブンなシステムを導入しなければならないと思っています。ゼネコンである我々がこれまで培ってきた技術やデータを、どのようにデジタルに落とし込み、業務効率化に繋げていくのか。こうした他社の動向を知れたのは、とてもためになりましたし、今後注目していきたい分野です」(橘様)

冨所様が選んだのは、読者からの寄稿記事「読者からDXは女性技術者が働き続けられる助けに(2023.09.20)」土木の女性技術者が、妊娠出産などのライフイベントがあっても現場で働けるようにするために、DXに期待したいという記事です。

ねっとわーく 読者から
DXは女性技術者が働き続けられる助けに 2023.09.20

冨所 滉大朗 様

「記事を読み進んでいた中で、たまたま関連記事で表示された この記事を拝見しました。私は、女性だけではなく、障害を持たれているような方も含め、多様な人材が働ける環境が必要だという課題意識を持っています。情報を集める起点となる学会などの場においては、まだまだ先生方や同業他社の同世代の方との関係性も薄く、自分から質問をする以外に意見交換をする術がありません。こうした中で、日経クロステックの記事を通じて、同じ世代の人で同じ感覚を持つ読者がいると分かり、こうした個人の声を聞くことができるのはすごくいいと思いました。この記事をきっかけに、読者の寄稿記事に注目するようになりましたね」(冨所様)

小笠原様が挙げたのは、「斜面崩壊で橋台基礎が露出、原因は『シラス』の浸食(2023.10.30)」です。斜面の崩壊によって、鹿児島県内を通る東九州自動車道で橋台基礎が露出してしまった原因を追った記事です。アクセス数も多く、読者の注目を集めた記事でした。

斜面崩壊で橋台基礎が露出、原因は「シラス」の浸食 2023.10.30

「土木業界のみでくくるのではなく、トップページを眺める感じで記事を見ていますが、全体的に防災・減災関係の記事にアンテナを立てて見ることが多いですね。速報記事にも、記者の方のしっかりとした取材や知見が反映されており、とても助かっています。細かな情報収集の積み重ねが、現場での判断に生きてくると思っています」(小笠原様)

そして最後に鈴木様が挙げたのが、次の二つの記事でした。

「我々に失敗はない」、ニデックCTOが語る研究開発の極意 2023.07.14

「ゼロかイチかではない」広い視野で議論しボツのアイデアも評価、ヤマハ発動機 2023.07.26

どちらも「技術トップに聞く」という連載シリーズの記事。研究開発を支援するこれまでの自身の立場から、「失敗したアイデアでも、次の改善につながるという点では無駄ではない」と主張するこれらの記事に共感したといいます。「土木業界の記事ではありませんが、部署やドメイン単位など『同じような立場』の方がどのようなことを話しているのか、という視点で記事を参考にしています。この二つの記事は特に印象に残り、クリップもしました。研究開発などは10件やって1件当たればいいところ。失敗も含めた、一つひとつの積み重ねが大事なのです。若手には『多少失敗しても次に行け』と言ってあげたいですね」(鈴木様)

導入したソリューション 日経クロステック 法人向け特別プラン

3つのスキルレベルに分けてデジタル人材を育成。ドローンも活用

小笠原 広志 様

こうした中で重要になってくるのが、社内のデジタル人材の育成です。東急建設では、全社員を対象としたDXの基礎やツールの利活用を学ぶ「デジタル利活用人材」、各事業領域を理解しDXを牽引する役割を担う「デジタル推進人材」、そして、デジタルの専門知識を身に付け全社横断的にDXに取り組む「デジタル専門人材」の3つのスキルレベルに分けて、人材育成を進める方針です。

冨所様は、技術推進部の「デジタル推進人材」の一人として、日々スキルを学んでいます。「オンライン講座を受講したり、外部から講師を呼んで講座を受けたりするなど、現在進行形で進めています。これからデータ活用環境を構築していく中で、統計解析やデータドリブンの基礎を学んでいる最中です」(冨所様)

土木業界では20年ほど前、AutoCAD(オートキャド)が浸透した頃からデジタル化が始まり、今では3DCAD、BIM/CIMなど、デジタルソフトも高度化してきました。「誰もが3Dモデルを描けるほど習熟する必要はありませんが、全員がデジタルソフトを使って、発注者に説明することが当たり前な時代が来ていると考えています」(小笠原様)

また、こうしたソフト面だけでなく、ハード面としてドローンの活用も見逃せません。もうすでに、定点観測などはドローンでの自動化が進んでいます。「今は機械の進歩が本当に早く、ドローン本体や付属のカメラなどは1年経つと陳腐化してしまうほどです。それぞれの現場に最適な使い方があるので、多くの場所で試して生産性を上げていく計画です」(小笠原様)

導入したソリューション 日経クロステック 法人向け特別プラン

日経クロステックの情報を部内で共有。品質と安全の向上を目指す

鈴木 一 様

今、建設業界で大きな課題となっているのが、2024年4月から始まる残業上限規制です。もともと2019年4月に施行された改正労働基準法で規定されたものですが、建設業は長時間労働の改善に時間がかかるとして、5年間の猶予が与えられていました。

「働き方の改革は、まさに急務と言えるでしょう。それが実現できなければ、若者に選ばれない業界になってしまいます。だからこそ、デジタルを活用した生産性向上は、避けて通れない道なのです」(鈴木様)

建設業界で最も重視するのは「品質と安全」です。社内で起きた品質事故は、情報収集して蓄積しています。そして、同じような工事を受注した際に、その情報を展開し注意喚起を必ずするようにしているとのこと。
日経クロステックでは、社外の情報もデータ等含めて事細かに吸い上げていただいているので、こうした情報も今後は社内に展開していこうと考えています。特に、我々が専門としている橋梁やトンネル、地盤などのトラブルの記事をベースに勉強会を開き、社内で共有するといったことを今始めているところです」(小笠原様)

最後に、今後の日経クロステックに期待することを伺ったところ、冨所様は次のように答えてくれました。「今後組織内での共有を広げていくために、IDを増やすための判断材料としても、利用実績が簡単にわかる仕組みができるとありがたいですね。また、最近個人的に楽しみにしているのが、若手エンジニアのマンガシリーズです。自分の今後のキャリアや働き方を考える上でも参考になるので、建設業界のマンガもぜひお願いしたいですね」(冨所様)

東急建設さんの皆さんのお話から伝わってくるのは、事故や災害から人々を守るというプロフェッショナル意識です。日経クロステックの記事から、業界内外の情報を収集し、今後の現場に役立てていくとのこと。日経クロステックは、現場で働く皆さんのためにも、正確な情報をこれからも発信し続けていきます。

導入したソリューション 日経クロステック 法人向け特別プラン

「日経クロステック(xTECH)」はIT、自動車、電子・機械、建築・土木など、さまざまな産業分野の技術者とビジネスリーダーに向けた技術系デジタルメディアです。AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)、自動運転、デジタルものづくり、建築物やクルマを変える新素材といった技術の最新動向と、法改正や新規参入者、新たなビジネスモデルなどによって引き起こされるビジネス変革の最前線をお伝えしています。

土木事業本部 技術統括部
技術推進部長
鈴木 一 様
土木事業本部 技術統括部 技術推進部
技術企画グループ グループリーダー
小笠原 広志 様
土木事業本部 技術統括部 技術推進部
技術企画グループ
冨所 滉大朗 様
土木事業本部 技術統括部 技術推進部
技術企画グループ
橘 才造 様
法人名
東急建設株式会社
本社所在地
東京都渋谷区
創立
1946年3月12日
従業員数
2,628名(2023年3月31日現在)
URL
https://www.tokyu-cnst.co.jp/
事業内容
東急グループの総合建設会社。鉄道関連事業に独自の技術を持ち、建設、土木と幅広い事業を展開する。「安心で快適な生活環境づくりを通じて一人ひとりの夢を実現します」というパーパス(存在理念)を掲げ、建設業の枠を超えた取り組みに挑戦し続けている。

2024.2.20